« 週刊マンガライレポートVol.35 | トップページ | 週刊マンガライレポートVol.36 »

2013年5月 7日 (火)

TM6105F 再々(?)Percobaan&6113FBukitDuriへ。(5月6日)

Img_1054r
10連でUIを通過する6105F

昨年9月~11月にかけてジャカルタ入りしたメトロ6000系6本(6105F,6111F,6113F,6127F,6133F,6134F)が未だ営業開始に漕ぎつけておりません。確かに現地入り~現地化改造、そしてその後の運輸省からの許可申請(特にこれが時間がかかる)と、年々時間を要すようになっている気がしますが、それでも今回は異例の長さです。通常は改造明け2度の試運転が済むと、その先営業開始まで走らないのですが、今回はそれが3度、4度と繰り返されています。当方でも全ての試運転を把握出来ておりません・・・。

※画像は全てFaris様提供。毎度、ご提供頂きましてありがとうございます。

そんな中、本日6105Fがまた試運転を行い(10連のままで、3度目、であっているか??)、6113Fが8連となりBukitDuriへ回送された模様です。Depokでの改造順では6113Fがトップでしたので、ようやく6113Fは運用入り(しかし通例では運用初日はDepok出庫の朝夕運用ですから、まさかのRKW(Rangkaian Khusus Wanita:女性専用編成)2本目というオチも大いにありそうでコワイのですけど)を果しそうな気配です。

Img_1044r
車体をうねらせDipoからDepok駅に入線する6105F

しかしながら、今回の一件を見ていて、いかに現地サイド(KCJ,KAI)と日本側の車両の出所会社との関係・情報共有がいかに希薄か、ということがわかりました。当然、無駄に値段を引き上げるだけの商社を挟み、“中古機材”として譲渡されていた初期の103系や5000系の頃と比べれば格段に鉄道会社同士の繋がりは近くなっていると思います。現に昨年まで続いていたメトロ車の譲渡では当地電車区の区長クラスを日本に招待し、研修プログラムも組まれました。見た目上は仲介を挟まず、直販に近いものになっています。私もずっとそう考えていました。

ですが、冷静に考えてみると、鉄道会社は車両を保有しているだけで、現場よりも完全に営業寄り、まあ所謂サラリーマンが働くところなのです。現場は今や元の会社からは続々と切り離されて、技術力の継承が徐々に問題になりつつあります。そのことが、いっこうに円滑化しない当地向けの車両譲渡・部品供給・メンテナンス等々に一枚絡んでいるのではないかと思った次第です。

昨今においても譲渡された同系車があっけなく解体され、部品共々解体屋送りになってしまっている現実があります。現場レベルでは解体日程もわかるのですし、部品を確保することは可能です。しかし車両を保有しているのは親会社。解体を決めるのも親会社。解体日程を他会社に横流しすることは当然ご法度ですから、譲渡できる物品があっても譲渡出来ない。そういう現実があるのです。実際を見ていても、KCJ・KAIなんらかの親交がある日本側の技術者・現場の方が何名かいらっしゃって、なんとか切り繋いでいるなぁという部分があるのは事実です。当然、出所からしてみれば旨みの少ない海外譲渡ですし、元の値段を考えたらタダ同然で譲渡してもらっているのですから、文句を言える立場ではないのは承知です。しかしながら、震災以降、いくつかの鉄道会社が第三、第四の柱として今更海外に目を付けはじめた昨今、こういうところから地道な努力をしていかないと、価格面で明らかに劣る日本のシステムを売り込むのはなかなか難しくなるのではないでしょうか。当地に限ったことになるかもしれませんが、このまま行くと、円借款を結んだ空港連絡線もMRTも儲かるのは土建屋だけで、タイで起きたようにシステムは欧州勢に持っていかれるということになりかねません。話がそれたような気もしますが、ともかく情報共有だけは相互にしっかり行ってもらいたいものです。

しかし不足しているのは車両本体や部品、つまりハコモノだけではありません。技術力、つまりヒトの力も不足も明らかです。確かに都営6000系の無償譲渡に始まる一連の人材教育で使い捨て気質と言われた現場スタッフのマインドは変わったと言われています。持って10年と言われた都営6000系が10年を超えて運行出来ているのを考えれば、一目瞭然です。彼らは本当に車両を大事にし、日々真面目にメンテナンスを行っています。そして、無い部品は自分たちで作ります。ですが、心だけでは限界があります。しかもここまで多岐に渡る車両のメンテナンスは並大抵の知識や技術ではカバーしきれません。しばしばDepokやManggaraiの技術を絶賛する(確かにここの整備力は凄い!ですが)書面を目にすることもありますが、現実は見よう見真似でなんとかここも潜り抜けているといったところなのですね。今回、運用開始が遅れている6111F, 6111F, 6113Fも本職の方が見ればすぐに改修出来るもの(台車関係の不具合だった模様)がここまで長引いているとのことでした。日々のメンテナンスにしても、すぐ直るものが長期化する、わからないものを無暗にいじったがために、かえって故障を誘発する、という事象があるのではないか、ということです。確かに区長クラスは日本で研修を受けています。しかし、それも形式の譲渡前の一定の期間に限ったもので、取り扱い研修、或いは大きなメンテナンス(要するにKAIが力を入れている全検あたり?)といった意味合いが強く、毎日の予防保全とは別のものなのではないでしょうか。しかも学んだものを、電車区の各スタッフに落としこむというのは大変なことです。現場スタッフは貪欲に知識と技術を求めています。知識を教えさえすれば、彼らは必ず行動を起こします。まずはハンマーによる打音検査から、そこからです。

ジャカルタには毎年、いくつかの鉄道会社からお忍びの訪問があり、KAI・KCJのスタッフと接点のある現職の鉄道員の方がいらっしゃるようです。しかし残念ながら、聞く限りではJABODETABEKを走る車両と縁のある会社さんからというのはほとんど無いようです・・・。オフィシャルかそうでないかは、さておき、訪日研修はマインドの変化という点で既に効果を上げているのですから、車両譲渡とパッケージとし、次は日本からインドネシアに技術陣を送り込み、さらなるメンテナンス力強化のため、毎年定期的な研修会を開くときになっているのではないでしょうか。

6127F, 6133F, 6134Fは引き続き、一日も早い運用入りのため、調整が続くことになりますが、実は現在電車区で、ある日本人技術者がたった1人で炎天下の中、日々限られたパーツと時間の中で、これらの整備に当たっておられます。きっとその苦労は想像をはるかに凌ぐものと思います。当方がなんのお力添えも出来なく、大変恐縮ですが、くれぐれも無理はなさらず、安全に整備が終了することを願っております。

なお、これら見解は現地調査を基にした当方の勝手な私見であり、公式な見解ではないことをあらかじめご了承下さい。

|

« 週刊マンガライレポートVol.35 | トップページ | 週刊マンガライレポートVol.36 »

コラム」カテゴリの記事

ニュース」カテゴリの記事

コメント

 こちらでは初の書き込みです。

 他社とはいえ鉄道現場に身を置く者としては耳の痛いお話ですね。日本の鉄道システムは日本が独自に開発、進展させて来たので基本的に日本国内で完結しています。それ故、鉄道事業という仕事は従来の考え方なら海外と絡む事はなく、日本という囲われた柵の中で日本の流儀、常識を基に活動しています。うちの会社も外国人の社員はいないし、自分も含め語学堪能な社員なんてそうはいないと思います。これはほとんどの鉄道会社が同じような状況だと思います。このような日本側の体制もKCJ、KCIとコミュニケーションの取れない要因の一つだと思います。

 残念な事ですが、日本の鉄道事業(鉄道会社だけでなく車両、信号メーカー等含めて)はその技術を海外へ…という考え方は近年ようやく動きを見せてはいますが、まだまだ足りないのが現状です。自国内の鉄道がどんどん開通し、輸送量も伸び続ける一昔前までならそれでも良かったけど、現在はそうも言ってられない時で官民一体になって活路を求めなければいけない時なのですが…。

投稿: 台鐵武士 | 2013年5月 8日 (水) 05時27分

台鐵武士様

こんちには、コメントありがとうございます。

正に仰るとおりで、日本の鉄道というのはとにかく閉鎖的な中で発展してきました。そこが、日本の鉄道が世界で通用しない最大の要因だと思っています。しかも技術が流出するとかなんとか言って、出し惜しみする会社まである始末。こういう高慢な姿勢を取っている限り、日本の鉄道に明日はないでしょうね・・・。

変な言い方ですが、震災がある意味、エポックメーキングとなり、ようやく外に目を向け始める会社が出てきました。しかしもはや遅すぎるでしょう。欧州ないし中国勢で固められている中に、日本がしかも各社単体で入りこむ余地は極めて少ないと思います。お役人さんたちは全く興味が無いみたいですし・・・。このあたりは韓国の悪徳商法を見習わないと;;

投稿: パクアン急行 | 2013年5月 8日 (水) 11時54分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1701705/51525204

この記事へのトラックバック一覧です: TM6105F 再々(?)Percobaan&6113FBukitDuriへ。(5月6日):

« 週刊マンガライレポートVol.35 | トップページ | 週刊マンガライレポートVol.36 »